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第二十話 ニューヨーク植物園のゲストブック

ニューヨーク植物園には、一カ月に2万人ぐらいの人が訪れる。そのなかには、一般入園者のほかに、研究とかコンサルテーションなど特別の目的をもって来園する人がある。これらの人々は、標本館や図書館を訪れ、備え付けのゲストブック(来客登録簿)に、氏名、所属機関、来園目的などを記入する。

各国の植物園長や研究所長が来訪

植物園長や植物研究所長の記名のなかには、キュー植物園元園長のJ・P・M・ブレナン(Brenan)教授(マメ科)をはじめとして、同じく英国のエジンバラ植物園長でサビ菌研究者のD・M・ヘンダーソン博士、パリの自然史科学博物館元館長で植物地理学者のA・オーブレビル(Aubréville)教授、デンマークのオールフス大学植物研究所長でタイ国植物誌計画のリーダー、カイ・ラーセン(Larsen)教授などのそうそうたる名が見られる。

これらの人たちは、単なる表敬訪問ではなく、国際協力研究の組織作りや研究者の交換計画を推進する目的で訪れ、あわせて自己の研究のために標本館を利用している。

アジア各地の園長の来訪者も多い。1963年に、東京大学小石川植物園長だった前川文夫教授がアンデス地域の植物研究のために、またインドからは、インド植物調査所前所長のS・K・ジェイン(Jain)博士(イネ科)や、同じくインド国立植物研究所前所長で細胞遺伝学のT・N・コショー博士がインド・米国協力研究計画樹立のために訪れている。

南米からは、新熱帯植物誌編纂のためにベネズエラのカラカス植物園長T・ラッサー(Lasser)博士。ブラジル、サンパウロ州農務局の植物研究所前所長A・R.テイシェイラ(Teixeira)博士は、研究やニューヨーク植物園との共同研究計画の調整のために何回となく来訪し、アルゼンチンの国立ダーウィン植物研究所前所長のA・ブルカルト(Burkart)博士も、前後三回にわたり、マメ科の研究のために一週間ぐらいずつ滞在している。

カナダやアメリカ合衆国の植物園長で、ニューヨーク植物園を訪れたことのない人は、おそらく皆無であろう。ミズーリ植物園長のP・レーベン博士の太くはっきりした署名も何回となく見られる。

米ソ間の協力研究も行われる

数日間の滞在で標本データをとっていく人、長期間滞在し研究する人、南米や東南アジアの発展途上国からトレーニングのために派遣されてくる若手の研究者など、来訪する研究者もさまざまである。

ソ連の有名な植物系統学者A・タクタジャン博士は、米ソ関係の雪解け直後の1968年に一カ月近く滞在し、植物園の主任研究官A・クロンキスト博士と共同研究をして、まったく新しい植物界全体の系統分類のシステムを発表した。また、再訪して、アジアのキヌガサソウ属(ユリ科)の新種を発表してもいる。

国際分類学会事務局長のオランダ、ウトレクト大学教授F・A・スタフルー博士は、毎年長期間図書館で仕事をするが、これは米国スミソニアン研究所の自然史科学博物館元館長R・S・コワン(Cowan)博士と共に、数年間にわたり、全六巻、三千ページを上回る『植物分類学文献目録』の編纂にあたっているからである。

ニューヨーク植物園と日本との関係も深い。1965年9月には、『日本植物誌』の著者で国立科学博物館学芸官の大井次三郎博士が、同書の改訂版のためのサクラ属の研究や日本にかかわる原標本閲覧のために標本館を利用、その後、東京大学の原寛教授が二回ほど図書館や標本館を訪れたのを皮切りに、神戸大学・田村道夫教授、信州大学・清水建美教授、京都大学・小山広滋助教授(現在、国立科学博物館植物研究部長)、東京都立大学・加崎英夫教授、筑波大学・佐藤昭二教授、国立科学博物館植物研究部長・黒川逍博士など多くの研究者が訪れている。

科学博物館の学芸官井上浩博士は、植物園の元園長W・C・スティア博士との日米協力による大規模なコケの研究のために、数回にわたり長期の訪問をしている。

基礎データを必要とする企業からも

資源植物の開発研究や、応用植物学の方面での、実用的な問題を抱えてニューヨーク植物園を訪れる人も多い。米国財務省の税関局とは1964年ごろからの付き合いで、税関の実験所長自らが、検定を要する植物や製品のサンプルを持ってよく通ってきて、私と一緒に標本データを調べたり、検鏡したりした。

米国農業省の植物探索官や導入室の係官にとっても、ニューヨーク植物園のデータバンクは、遺伝子資源探索収集のとくに企画段階で不可欠であり、よく来訪する。

最近のバイオ産業の発展に伴い、企業人の来訪も増す一方である。日本の財界人のなかからも、社団法人・日本貿易会水上達三会長(当時三井物産会長)、経団連バイオサイエンス委員会鈴木永二委員長(三菱化成会長)、新品種保護開発研究会久宗高副理事長(日伯農業開発公社社長)などの名が見られる。

資源植物関係では、主として食品、薬品、エネルギー関係企業の来訪者が、毎週20人から30人も見られる。植物園との共同研究や同園への業務委託に発展するケースも多い。

ゼネラル・フーズ社のJ・L・ファーガソン会長や研究部長のハース技師は、年数回来園する常連。台湾糖業公司の張研田会長は、サトウキビの件で来訪。グアテマラ・スパイス製造会社のF・ローゼンガーデン前社長も、自らの研究のために何回となく来訪している人のひとりである。

(註)本節に記された方々の所属肩書きは昭和60年(1985年)当時のもので、已に故人となられた方がたも多い。

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